……なるほど、それではやはり、どこかでお会いした事があるのでしょう。
[地上にいる間は、迷える人々を導く事を使命としていたというオクタヴィア>>21
その彼女が垣間見せた、どこか落胆した様子にゆっくりと目を瞬かせる。
やはりどうにも、彼女が自分と無関係とは思えない。
さりとて、穢れなく、志高い者を貶める事を悦びとするシメオンが、彼女のような者を覚えていない筈がないだろう。
胸の底にわだかまる違和感に、少しばかり表情を翳らせた。
ならば、導き出される答えはひとつだけだ。
まだ人として、地を這うように生きていた頃。
彼女はその頃の縁者、だったのかもしれない]