シン、少し上で待っていて。
[ 銀の騎竜を珍しがった子供達が不用意に近づいて凍傷にでもかかっては困るから、と、軽く滑らかな首筋を撫でて相棒に上空待機を促し、男は王の元へと足を向けた。>>84 ]
陛下。
[ 君主への最敬礼を贈りながら、微笑む。 ]
お久しぶりです。北への案内はお任せ下さい。
[ 所作は寸分の狂いも無いが、口調は率直で、柔らかいもの。美辞麗句を連ねるのは師団の流儀ではなく、また王の望む所でもないだろうと理解していた。
傍に控えるジルにも、目礼を贈るが、黒衣の剣士が近くに居ても、敢えて視線を合わせようとはしないのは、以前からの事だ。* ]