― 昼、宿のレストランにて ―
[…は隅のテラス席に腰を下ろすとケープを脱ぎ、フードからラヴィを優しく抱き上げると向かいの席に置いた。]
来る途中、見慣れない服装をした女性とすれ違いましたね。この村の人間ではないようでしたが、何故か振り返って二度見された気が…。ラヴィ、知り合いですか?
[そう言いながら…はメニューを手に取り、内容に目を通した。そしてラヴィの相槌に頷く。]
ふふっ、そうですね。ラヴィのお友だちのドロシーさんと同じ目と髪の色をしていましたね。ドロシーさんも何やらあちらでつぶやきながらホットミルクを飲んでいらっしゃいますが、ラヴィ、食事を取ったら彼女と遊んできてもいいのですよ?
[そう言いながら…は片手を挙げて、金髪ツインテールのメイドを呼び止める。]
ええ、この『本日のオススメランチ』をサラダつきで、食後に紅茶と季節のフルーツのタルトを。取皿も一枚、お願い致します。
[注文したものが届く間、…はカレルの>>83>>84の歌に耳を傾けていた。神ではなく妖精が崇められる内容に、…は少し眉を顰めるが、最後の講釈まで聞いて、ふと口を開く。]
…例え妖精に洗脳されているとは言え、人々が幸せで平和であれば、それは喜ばしいことなのでしょうか。
(「天国に行ける」と神の教えを人々に説いて信仰を促す教会と、何が違うというのでしょうか。)
[…は迷いを振り払うように首を横に小さく振る。カレルの歌声は陽気なものへと移り変わり、そしてメイドがランチとサラダを…のテーブルへと運んできた。]
さぁ、ラヴィ、食べましょうか。
[…はサラダと、ランチのうちラヴィが食べられそうな物をいくつか取皿に取り分けると、十字を切って祈りを捧げた。]
神よ、日用の糧を本日も与えてくださることに感謝します。アーメン。