……そりゃあ、まあ。分かっている、けど――さ。
[背中を丸めて、驕ってもらった酒をちびちびと飲みつつ。ジムゾンを前に端切れの悪い返答をしたのは、レジーナの宿屋での出来事>>80だ。]
”パメラが心配なら、村にずっといればいい。>>79”
[しごく尤もな話かつ正論だと理解できても、了解したもうふらふらしないと親切な忠告を受け入れられないのは、良く言えば好奇心旺盛、悪く言えば風来坊で落ち着きがない性格であるせい。
祖父の代から続いている粉引きの仕事は、気候の温暖な村では安定しているとはいえ、毎日毎日同じことを繰り返していると、刺激に乏しくて退屈してしまう。
ゲルトのために目の薬を探しに行くと明確に目的を持って旅に出ることは、どちらかと言えばまれ。大抵は、風が呼んでいるなどとあいまいな理由でふらっといなくなるのだった。]