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─ 既知とは良くも悪くも ─
親しくなくとも容赦ないのかもしれないが、彼女に対して訂正(と言うよりは脱語)を指摘する辺り、容赦ないと思う。
初めの頃より随分、俺の反応を愉しんでいるのではないだろうか、この画家氏は。
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言われなくとも全ッ然変わらないから。
変わる気もないから心配不要だ。
[確かに苦手でも、嫌いではないのだ。
寧ろ何を言っても言い返してくるだろう彼女に、気楽さもあるのだが。
別に歳上と驕っている訳ではないが、歳下に若い呼ばわりされると複雑なものがあるのだ。
遠ざかる姿を見遣ってそう思う気持ちは変わらない。]*