― 回想/旅立ちの朝 ―
[ ローグの民...或いは単にローグ...そう彼等は自称する。ローグとは「人」という意味の古語である。
彼等は幾つかの集団に別れて、各地の祭りを巡り、神と精霊に歌舞や演武を捧げ、祝福を得る。人の世の続く限り... ]
ローグは、何の為に生きるか知ってる?
[ 父の元へと旅立つ日の朝、謎かけのように言って、少年は少女の亜麻色の瞳を覗き込んだ ]
それはね、笑うためなんだって。
[ ローグは...「人」は、笑う為に生きる。それは、少し前に亡くなった母の受け売りの言葉ではあったけれど ]
だから、リー、またいつか、笑って会おう。
俺はずっと、忘れないから、リーが、俺の大事な妹だってこと。
[ 約束だよ、と、互いに自分の手で編んで交換したミサンガのカーネリアンとタイガーアイを合わせ、涙を零さないうちにと、笑って手を振った ]
またね!リー!**