[声を聞けば、昔とは変わらぬ声だった。
しかし、それは弱く知っている声ではない]
報いですか。
[士官候補の少女は遺言になってしまった言葉を彼に伝えてくれたのだろうか。
つづく言葉に少女を通した約束が果たされなかったことはすぐにわかった。
しかし、私は戦乙女たちのように彼を責める言葉も憎悪する気持ちも持てない。いいや、持ってはいけないのだろう]
死に感情があるなら、今の気持ちかもしれません。
私はフェリクス様を支えきれなかった。
ましては、そのお心を裏切ってしまった。
しかし、懺悔は致しません。
[思い出すは、王子お二人が私の故郷に遊びにいらした夏の日。
小鳥のさえずりを聞きながら、馬に乗り、笑い合った幸せなひととき]
死が全てを取り払ってくれるのならば、
ラバル家の人間としてではなく、
あなた様、あなたと対等に友人でありたい。
そう、友人としてフェリクス様の心が
救われる日が来ることを願っています。
[戦乙女たちを止める術は持たなかった。それはフェリクス様も望んではいないこと。
見るにも辛い光景だったが、向けられる憎悪を受け止めるのがフェリクス様の懺悔ならば、それを心に刻むのもまた私のフェリクス様への懺悔なのだろう*]