>>71ルートヴィヒ
[ ガタッと椅子が動く音に視線を向けると,銀髪の司祭が立っていた。彼は怪訝そうな顔をする男とカサンドラに向かって,氷の魔術を使ってくれないかと頼む。男は余計に顔を顰めて,司祭を見る。]
(…何で,俺らがそれやんなくちゃいけねぇんだよ。意味わかんねぇ。)
[ しかし,亡くなったのは男の友人とその仲間たちなのだ。本当ならすぐさま断りたかったが,そう言うわけにもいかない。男は,チッと舌打ちすると,答える。 ]
良いぜ。行ってやるよ。まぁ,しかし,俺ら今魔術使えねえんだ。その代わり…
[ 男は,自分が着ているローブの裏ポケットから,何枚か大きな布を取り出す。純白とは言わないが,清潔な布である。]
この裏ポケットは,俺のコレクション部屋に繋がっててな,自分の力で引っ張り出せるものは引っ張り出せる。
この布になら,冷却の魔法がかかってるから,これで良いだろ?
後,手伝ってやるかわりに,ちょっと世間話しようぜ〜♪
[ 男はそう言うと,チラッとカサンドラの方を向く。顔色の悪い彼女を,死体に会わせるわけにはいかない。]
(まぁ,本当ならアイツが行ったほうが良いんだろうが…)
[ 優しいカサンドラが行った方が,きっと…
男はそんな事を考えながら,ルートヴィヒに続く。 ]