[――― かつて。 王が破壊神だった頃のことは、己は知らない。 文献に辛うじて残るものを、知識として追い掛けるくらいだ。 だが、己は何故、世界の澱より生じたか知っている。] 我が王よ、俺は知っているのです。 貴方が御自身の財を、とても大切に扱うことを。[風の中に紛れる声は、人ではない者たちの想いの代弁。 国を持たず、統率を持たず、安寧を知らなかった魔の者ら。 獣は幾千年分の、大小様々な魔の者らの願いの具現であった。]