[胸の奥にわだかまる罪悪感に眠りを覚まされる。
今までにない最高に最悪な寝覚めだった。
頭痛や腕の疼痛より、吐き出したくなるような不快感が込み上げ、
逆らうことはせずそのまま床に吐いた。
食事はして無いから殆ど胃液と、未消化の酒が床を汚す。]
だから、会いたくなかったんだ、 畜生。
[乱暴に口元を拭い、手近の酒で口をゆすいだ。
同じ様に一生ものの怪我を負いながらも、子供を引き取って育てる姿を見る度に男は自分を責めている。
シモンをああしたのは他でも無い自分のせいだと。
せめてもの贖罪に手助けをしようにも、伸ばせる腕も無い。
何をしようにも上手くいかない無力な自分を呪った。
自分の怪我も、シモンの怪我も、兵士だった頃や幼いときの思い出までも、その全てを忘れるように男は酒に手を出し始めたのがそもそもの堕落の始まりだった。*]