――いえ。[口の端吊り上げた女帝の提案に、精霊は否を返す] 私はその力と共に、『氷華』の名も継ぎましょう。 いずれ四君子に名を連ねることあらば、その時は柊を象徴へ据えましょう。『そうか、柊か』[氷精霊の言葉受け、女帝は眼差し細め頷いた]『それがお前の意志ならば、もはや何も言うまい』[女帝は精霊の許を離れ、月見える窓へ歩み寄る。 その時、鈍き振動が世界そのものを震わせ、玉座を覆う氷にビシリと罅ひびが入った]『選が始まったようであるな。 ――さて、此度は如何なる王華がこの座に開くのか』