― パン屋 ―
[村のパン屋。食欲を甘く擽る匂いと、微かに賑う気配を頼りに、ふと扉を開いていた。
涼やかで愛らしいベルの音。
店の中から視線を受けると、そこに立つ自分は、村の皆が初めて顔を合わせる存在。神父の物と解る装いと、微かな旅装を手にした。
誰が見ても、旅の聖職者だと解る、物腰柔らかそうな神父――]
どーも始めまして、村の皆様方。
この糞暑苦しい太陽の熱と、
花粉症を患われる方の地獄を思わせる様な花弁達に沸き立つ。
楽しいお祭りの気配…基、お腹が空いたので、まず眼の前に見えたパン屋に釣られてやってまいりました。
[――では無く、言葉遣いは、フランスパンをど真ん中でへし折った様に砕けていた。
神父の視線は言葉どおり、人間には4割の比率で視線を送っている。
勿論残り6割は、パンだった]