―― 回想:ロー・シェンが捕らえられた頃 ――
[アリーセのお目付け役兼世話役としてクラタエグス砦へとやってきてすぐだったか。
ラートリーが捕虜を捕らえ、そしてその捕虜は同僚となった。
軍人らしい軍人となろうとしているラートリー。
傭兵らしくその軍人とはどこか違った雰囲気のロー・シェン。
二人の対比は見ていると面白く、しかしどこか他人事のように眺める事が多かった。
そもそもコンラート自身は軍人ではないと思っているし、傭兵のように戦う事が仕事でもないと思っている。
ある意味で一番中途半端な人間であった。
それだけにどちらに属する人間であろうと気兼ねなく接するし、馴染む事も出来る。
表向きは、との注釈はつくだろうが。]
ローはさ、この軍のヤツらをどう思う?
[一度尋ねた事があった。
それに返答があったかどうかはさて置いて。]