― 少し前 ―
ああその辺りかな、羽根は切るなよ?
[蝙蝠羽根が通るように鋏を部屋着のシャツに入れてもらう。
縦に大きく穴を二つ開けて貰えば、羽根を通してから羽織り。
釦を上からひとつずつ締めながら、フェリクスを振り返る。]
……お前も腹をくくった方がいい。
「ソマリ」の言ってる事を認めたくはないけどさ、
血を吸わずに飢えた状態を続けてしまえば、
誰に襲われるかわかったもんじゃないから、
[「食事」を取る事を躊躇うな。 ――生き抜く為に。
そう告げて服を着たフェリクスの胸部に軽く拳を押し当てて。]
……カシムの部屋に行ってみないか?
抵抗されずに食事するなら元々の腕力が弱い子を、狙った方が…、
[言いにくそうにそう告げて、彼の返答を待った*]