― 少し後・邸内 ―
[多くは既に屋敷に戻っているようだ。
ローゼンハイムの遺骸が横たわる現場から一度離れ、
やがて自身も邸内へと戻るべく踵を返した。
館に戻れば、まずは手洗い場の隅で血に塗れた手を洗い落とし、
それから広間へと向かう。
こんな状況下、邸内で人が集まるとすればそこだろう。
果たして、広間にはどれだけの人数が居たことか。
何と告げたものか、考えながら食卓端の椅子に腰を下ろした。]
…―――、
[ふと、テーブルの上の茶へ視線は止まる。
動揺を落ち着かせるために淹れられたものだろう、
空気を変えその気遣いの効果を薄めてしまうようで心苦しいが
言うべきことは早いほうがいい。そう踏んで口を開く。]
…皆気づいてるだろうけども、
ローゼンハイムの死の原因は『獣』によるものだ。