(…そういえば、あの楽師に会ったのも、婚礼の席だったな)
[パメラの言葉>>>>0:663とも相まって、
4年前、婚礼の後、中庭ですれ違った楽師の言葉が胸を過る。
曲を気に入ったかと問われ、]
――…うん、とても気に入った。
貴方の音色と歌声は、不思議だな…耳ではなく心に響く。
いつか、また、聴きたい。
[新緑の色の帽子の下の瞳を、まっすぐ見上げて答えれば。
“いい男を見つけたら、もっといい曲を弾いてやる”と
気まぐれのように降ってきた口約束>>0:579。
なんだ、見つけるだけでいいなら、簡単だ、
と嬉し気に頷いて。立ち去る楽師の背を見送っていたら。
傍で聞いていたらしく、笑いながら、
いやいや、そういう意味じゃないから! と教えてくれたのは誰だったか。きょとん、と首を傾げた後やっと理解に至れば。
微かに頬を赤くしつつ、一瞬の瞑目の裡、見つけられたとしても、
相手がどう思ってくれるかは分からないのに…と小さく呟いた]