[宿を出て少し離れた場所まで歩く。己を追ってきたらしいディーター>>82に覚束無い足取りで近づいた。彼は何かを言っただろうか。けれど、例え何かを言ったとしてもジムゾンの耳には届いていないようだった]
(餌だ、餌だ、さあ食べてしまえ、さあ、さあ)
(違う、違う、違う。いや、違わない。その通りだ。
――だが、こいつは…)
[ぐらりと視界が揺れる。ぜいぜいと荒い声で縋りつき、必死に声を絞り出す。一瞬だけ、昔3人で撮った写真の姿が脳裏に浮かんだ]
ディ…タ………わり、………
俺…、お前に。
……お前らに、ずっと……言ってね……ことが…
[ちゃんと声は届いているのだろうか。それすらも分からない]