こんな時にフェリクス殿下は何を……いや、まさか。
"こうなることを見越して"視察に行ったのか!?
[――そもそもの話。
僕はフェリクス殿下に"軍部の抑え"であることを期待していた。
英雄的性質を持ち、軍からの支持が厚い彼は、
同時に軍を制することが出来る数少ない存在である。
だから現在のような両王子が争う事態になっても、
彼が健在でいる限り軍部の暴発は無いと思っていた。
……それが僕の間違いだった。]
くそっ、目の前の利益しか見えない野蛮人め!
少しは先見の明というものを培えばよいものをっ!
[慌てて監査局を飛び出し、部下に指示を出しながら走る。]