― 回想 ―
[それは騎乗訓練のことだ。普通に飛行をする分にはなんら問題はなかった。
だが竜とシンクロをする騎竜師にとっては、それが本当の飛行でないということは理解していた。
だから同輩らより多く飛ぶ必要がある。
徐々に加速度をあげたりを急停止をしたりする。騎竜師がもつ騎乗能力という加護めいたものが負担を軽減をしてくれる面はあるがそれでも当初は慣らしながら行っていた。
そして本番、最初の飛行のことである]
(うるさい……な…)
[白む意識、鉄の味が広がる口内。内臓がいたい。薄目を空けた先にいるのは、耳を騒がしているのは?
呼吸を求めて血を地面に吐き出した。身体が軋む、それでも意地でエルトナの鱗にぐっと手をついて体を起こして]
いちいち騒ぐな。頭が割れる。
[喧嘩腰に心配をくれた腐れ縁へと意地っ張りにも俺はそう返していた*]