[名を得た若木は幼子の姿を持って具象し、名づけの主たる如月の君の傍仕えとしての任を鬼神より与えられ。次なる王華の選の時までは、鬼神の領域にて平穏な時が紡がれていた][平穏が喪われしは、王華の選の後。鬼神の従華として添うた如月の君が命を落とし、寵姫を喪った銀の鬼神もまた散り果てた。鬼神の眷属たる桜木が枯れ果てる中、唯一残りしが、如月の君より名を賜りし若木。若木は領域に残る力を己が身に蓄えた後──『譲葉』の地に文字通りの嵐を巻き起こした]