[もちろんその報告は、隣にいるディーターにはバレないように、小声で行われたもの。
きっと彼には僕が何か独り言をつぶやいたくらいにしか見えないだろう]
もうすぐ宿屋ですねー。
あなたが荷物を持ってくれるから、本当に大助かりでした。
[ありがとうございます、と営業スマイルでキュルンと笑う。
宿に付く直前、ディーターの耳元に顔を寄せて――]
もしよろしければ、後でお礼に伺ってもいいですか?
[言いながら僕は彼の手を取り、その無骨な指の先に口付ける。
お礼という言葉に何を含むのか、言葉以上にモノを言う誘う瞳で見上げて]
サービスしちゃいますから。
[なんてやりとりがあったのは、二人だけの秘密です*]