…物語がひと段落着いたら王宮に戻りましょう。
それなら、
[ 内緒にしておいて欲しいと仕草で示す。
それ>>72に頷いたのは何度目だったやら。
…けれど、現役を退いたとはいえ、
未だ王宮に顔を出すこともある養父に
むざむざ王子の放浪の件が知れてしまえば
ローレルにまで雷が落ちることが予想された。
流れる視線>>72を追うように
画家もまた辺りを見遣る。
人の印象はなかなか変わらない。
…それがとくに「こわい」と感じたものなら猶更。 ]
[ 養父か――あるいはそうでなくとも、
誰か近しい人間が現れる前に帰りましょう、と。
変わらず流れる歌声の邪魔をしないようそっと囁いた。* ]