[砦の占拠から一夜が明けた。砦の守備兵らは武装を解除され、中庭に集められていた。悄然とする彼らの前に、ディークは姿を現す。ラモーラルの王国旗、大地の緑と空の青、血の赤に塗り分けられた地の上で狼が吠える旗を背にして。] ラモーラルの勇敢なる兵諸君。 君たちは負けた。 武威にではない。 ラモーラルの魂に負けたのだ。 自主独立。不撓不屈。 なにものにも膝を折らない精神を、今のラモーラルは忘れている。 ラモーラルの民は、今や他者に従属して養われる羊の群れだ。 だから負けたのだ。