>>72>>73
[すぅと薄れ逝く、形を彩っていた魂の源
自我の崩壊に伴い感情は溢れだし、一つ零れては順に失われていく。
アイリの身体には無数の魂が纏わりだしていた。
其のどれもは負の感情に溢れ、助けを求め、縋るように蝕んでいく。
志し半ばに無残を帯びて散った無数の騎士達は、悲哀怨恨悔惜の念を帯びてアイリを融け合わせるように磨り潰し憑り込んでいった。]]
······ウ···ッ···
グ···············アッ····
ユル···サ···ナイ···ユルサナイ····
[呻き声とも耳障りな嗄れ声とも言える怨嗟の塊が辺りに響き渡る。>>73声を見つければまた纏わり始め、流れるように無念を告げては終わらぬ未練を吐いていった。]
····ドウシテ、
ナンデ············?···アァ······
イタ···イ タスケ····テ····€
イタイ、…イ·····タイ
[アイリももう、姿は微かに原型を保ってはいても、その目からは血の涙を流し、表情は悪霊のように歪んで変わり果てているだろう。
自我なく苦しみ続ける意識体は、その容れ物を探したかのように王子に群がり、自分と同じように負の渦へと取り込もうとその腕を伸ばした**。]