[縋るを躊躇う手、礼節を外れぬ挨拶。透明な殻をまとう薔薇の子。──それでいい。その鍵が、ギィに対してだけ、開かれるならば。] 吸血鬼が同族に血を与えるのは、格別の好意を示すもの。 繰り返せば、私の身に何かあった時、あなたも無事ではいられないかもしれない。 それを承知してくださった上で、またお誘いいただければ、喜んで。[社交辞令ではなく言い、揺れる翆玉を間近に覗き込む。]