……わたしの主、……この街に来る前に共に過ごしていた者も、狙われてる。
彼女自身に力があるから、だけじゃない。
父親がやっぱり強い『始祖』だから、縁者を通じてその尻尾を掴むために。
馬鹿な奴ら。
捕まったところで主があのひとの居場所を易々と吐くはずがないのに。
[かつて主は親の顔を知らず、ただ出自ゆえにどうしようもなく苦労をする最中、
どうして自分を産み落としたのかと、親に怒りすら抱いていた。
行き場のない怒りはやがて世界への復讐心へと変わったが、
色々あってそれらは既に収まっているというのはまた別の話]