『ぐぬううう!おのれ、身の程知らず共!ワシの力をこの程度と思うな!』
[ 迫る騎士と義勇兵の勇敢な戦いぶりに、強固なはずの護りも、徐々にその一画を崩し、更に挟撃によって、追い詰められた妖術師は、憤怒の形相も露わに、手にした杖で、大地を苛立たしげに打ち据える。
すると、びしりと地面がひび割れて、そこからぼこぼこと真っ黒な泥水が沸き出し、ぬらぬらと黒い皮膚に覆われ、血の色の腹をした大人の男の三倍はあろうという大きさの、巨大なイモリに似た化け物が這い出してきた。
その手には、まだら模様の浮かぶ刺のついた鞭に似た武器が握られている ]