[ その時抱き上げてくれる誰かの腕があった>>48
パチリと金糸雀色の瞳を開き、覗き込む顔を
不思議そうにじーっと見上げた。
その指をぎゅっと掴んだのは本能的なもの。
その日からローゼライトを始め
魔族たちと共に暮らす生活が始まった
育ててくれた道化師に少女はよく懐いていた
彼の操る奇術を目をキラキラと輝かせながら見つめ
彼がこちらを見てくれたなら、いつだって
笑顔の大輪を咲かせていたのだろう
初めて自分の脚で歩けた時も。
初めて自分の意思で術を操った時にも。
喜びを伝えようとぱっと振り返る
視線の先に居たのはいつだって彼だった ]