[砦の内側で警戒の声が上がるのと、門扉が開かれるのと、仲間たちが物陰から飛び出して砦へ殺到するのがほぼ同時だった。
深夜にたたき起こされた砦の守備兵らは、状況を把握する間もなく打ち倒され、次々と制圧されていく。
襲撃は電撃的に行われ、最小の経路でたどり着いた兵たちによって砦の指揮官は取り押さえられた。]
抵抗を止めさせろ。
同じラモーラルの民だ。無駄に命は取りはしない。
ダンクラード・クレイグ・ディ・カルスト・ヴァン・ラモーラルが、今ここに帰還した。
おまえたちが従うべきは、この俺だ。
[説得の末に、砦の指揮官は兵の命を選択した。
砦に、戦闘の中止を促す鉦の音が鳴り響いた。]