…ここは…
[ゆるりと辺りを見回せば、そこは不思議な光景であった。
冷たくて白い、かと思えば、薄紅色の花、それと…あれは何色だろうか。
しかしひときわ目を引くのは…見慣れた赤…――]
『死ねない理由は、あるかい?』
[呼ばれるように呼応する、問い。
その問いへの答えは、そうだ、持っていたはずだ。]
…死者に口無し、
正義を語るは生者のみ…
[小さく呟き、立ち上がる。
身に着けていた記憶のあるものは、何一つかけていないようだ。
浚われたにせよ、相手はひとまずこちらを害するつもりはないらしい。
傍らに落ちた軍帽を拾い、頭にかぶり直し。
…集まる数人へと視線を巡らせて、僅かに眉間に皺を寄せた。]