― 天上宮 ―
[宮殿内の火気の流れ、それを辿れば、主の居場所を知るは容易い。
それでも、すぐにそちらに向かわなかったのは、先に届いた主の言葉があるから]
……城下の案内、か。
まったく、我らが主は俺をなんだと……。
[確かに、登城の折には各所を巡り、祭りの時ともなれば知らぬ場所のない案内人となるのだが。
それらも結局は、領主としての仕事に付随しての知識なわけで]
……ま、好きで覚えた部分がない、とは言わんけどな。
[そんなぼやくような呟きと共に、ふ、と息を吐く。
城下から感じるのは、未だ穏やかな気。
これが乱されるようなことがあってならぬな、と。
そんな決意が刹那、過った]