―Nルーム―
[小さく横に振られた、今は牙痕の残る彼の首>>4:289。
そこにナイフの切っ先が触れた時には、
滲む鮮血の甘やかな匂いに。
ゾワリ、脳内の“ガルー”が、浅ましく蠢きかけるのを、
血の滲むほど唇を噛み締めて、堪えた。
一瞬だけ、苦し気に眇めた翠緑は、けれど逸らさずに。
血の匂いを嗅いでも、彼には自分のような
変化が見られないようであれば]
……ああ、お前は『人狼』ではないようだ、な。
[私のことを知ることもできずにいたことが、
彼の胸を刺していたと、は知りえずとも>>4:291>>4:389.
血の匂いへの咄嗟の反応と。
そう納得めいた口調で語ったことに
彼が、何か察してもおかしくはなかったかもしれない。
或いはもしも――…魂というものが死後も漂うならば。
先程からの私の様子で、赤い狂気を灯しかけた瞳で。
気づけることもあったかもしれない。]