― 宿屋205号室・深夜 ―
[窓がないせいだろう、銀嵐の夜でも他の部屋と比べると静かだ。
お陰でベッドに潜り込んでぐっすりと眠りについている。
自分と色の髪と目を持つ母は良く言っていた。]
「銀嵐の夜には、捕らわれてしまわないよう気をつけなさい。」
[仕立て屋の仕事があるからと現在村を離れている母は、同じ年で幼馴染のレジーナが宿屋の看板娘として評判が高かった頃、男勝りで勝気な性格の女性と周囲からみなされていた。だから、下馬評を覆してレジーナより先に結婚して村を出たときは、非常に驚かれたそうだ。]