―倉庫―[一人遺された男は、ずるり、と起き上がる。衣服を整え、帽子を手探りで拾い上げ、被り直した] ―――…物事にはぁ、限度というものが、ですね。[呼吸は浅く早い。口調は常より、隠しきれない苛立ちが混じる。普通に吸血された位なら未だ耐えられた筈なのに。随分と血を失ったようで、すっかり"末期症状"が出かかっている。倉庫内は昏い。男の眼は、現在、殆ど見えていない] 早く。早く、食餌を。 [帽子を深く引き下げ、立ち上がる。壁を伝うようにして歩き、倉庫の外へと]