[この場所は、私たち家族だけが知っている場所で。
誰にも教えてはいけないよ、とも言われている場所でもあった。
集落で管理している社の裏、深い茂みに隠された道を通って幾つか張られた結界を越えて。
ようやく辿りつける、開けた、けれどなんにもないその場所が私一人の練習場所、のはずだった、のだけれど]
………え…?
[一人で棒を振るっていて、ふと聞こえた音に顔を上げて驚いた。
知らない人───いや、顔は見たことはあるけれど、名前は知らない人がそこにいたから。
確か父様たちの武器を作ったり直したりしてくれてる人と一緒に来ていて、兄様たちとよく遊んでる人。
それはわかるけれど、でも、なんで此処に──
そんな疑問よりも、また変なものを見る目を向けられるのか、そちらのこわさのほうが大きかった。
でも、その人から向けられたのは、そんなものではなくて]