もう一つ郷があるとは知らなかったよ。実は来る時に少し迷っちゃってね。麓の方から逸れてしまったみたいだ。[少しどころの迷い方ではないことは、住まう彼らには気付かれるかもしれない。方向音痴と言うわけではないのだが、慣れぬ白銀の景色に惑わされていたのだった]いやぁ、無事にここに辿り着けて良かった。滅多に来る人が居ないなら、僕はその稀少な一人になれるわけだね。君達に出逢うことも出来たし、これほど光栄なことはないよ。[そう言って、にっと口端を持ち上げる]