―温泉宿―
[宿をとるのも、荷物を運ぶのも、ぜんぶぜんぶ従者>>63の役目です。
ドロシーはただ、彼の腕の中でそれを見ているだけ。
とはいえ お金はドロシーのおこずかいから出ていますから、文句を言われる筋合いはないでしょう?
それにしても、ただおとなしくしているだけで物事が進んでいくのですから。
従者というのは、なんて便利なんでしょうか。
少々忠誠心にかけるところはありますが、こうやって しゅしょうに言うことを聞いている間は、多少のわがままも許してさしあげたくなるというものです。
彼につれられるまま、脱衣所へと運ばれて。
手を上げろと言われたのであれば、言われるがままにそうしたでしょう。
だってこれも、"いつものこと"ですもの。
……ちゃんとした理由があれば、スカートをめくられるのだって許容しますけれど。
突然スカートをめくられるのと、お風呂に入れてもらうのとはまったくもって別のお話です。
ドロシーが彼の思考を読めたのならば、彼の疑問にはそう返してみせたでしょう。
ドロシーにはそんな力はありませんから、疑問は疑問のままになってしまったでしょうが]