[話しながら歩いていると、どこから声が聞こえてきた。>>59周囲に人影は無く、風が通り過ぎるだけだ。軽やかに吹く風は、なぜだか豊かに実った稲穂を連想させた。乳兄弟と視線合わせた後、風の吹いてきた方を向いて一礼する。] わざわざの御言葉、痛み入る。 私たちの問題で御手を煩わせてしまって心苦しいが、今はただ感謝を申し上げたい。[姿の見えない相手へ届かせるよう、少しばかり声を張る。試練を伝えた声や途中で邂逅した存在とは違う相手のような気がしたが、向ける敬意は変わらなかった。]