− ドルマール神殿 −
[ニールが操縦する飛行船はアレイゼル領側から三日月湖を越えて、中の島にあるドルマール神殿へと接近する。
俯瞰すれば、湖は確かに欠けた月の形をしていた。
北に望む太古の森は天鵞絨のように滑らかに黒々と広がり、人を拒むかのよう。
ローブを伝って滑り降りたカナンは、飛行船を繋留して神殿の入り口へと進む。
荘厳だが、どこか懐かしい感じすらする造りだった。
カナンは静かな空気を胸に吸い込む。]
カナン・リリです。
[名乗れば、声は反響をともなって神殿の奥へ吸い込まれていった。]
お召しを受けて来ました。