「決闘は双方二人ずつと聞いた。
もう一人はどこだ?」
[決してふざけている顔ではない。
そして対戦相手が冗談ではなくロー・シェンとアイリ──目の前の女であることを知ると、ざわざわと騒ぎが起こった。]
「女と決闘することなど、名誉に関わる!」
[激怒する族長と副族長を若いドワーフがどうにか宥め、すったもんだの末に円陣の中から別のドワーフが出てくる。
兜を取って見せた顔は、族長らとほとんど変わらない髭面だったが、髪が三つ編みになっていた。]
「我が妻、蒲公英のデアトリだ。不満は無かろう」
[副族長が不満顔で言う。
蒲公英のデアドリなる彼女は、髭面に野太い笑みを浮かべて、斧槍で地面を突いた。]*