[前線が混乱した隙に、相手の陣が立て直される。同様に、崩れ立った亜人どもの群れを割って、黒き巌が姿を現した。闇と同化し光を吸い込む鎧の列から、同様に艶消しに塗られた刃が突き出される。長い斧槍を地面とほぼ平行に構えた鉄底族の戦列が、人間の列へ真っ向からぶつかっていった。同時に死者の群れもまた生者に牙を剥く。緩慢に伸ばされた腕は刃を恐れることはなく、破壊されるまでは動き続ける死のシンボル。鉄底族と屍兵にまで押され立て、雑兵たる亜人は人間たちの両脇へと半ば崩れ立つように圧力を深めた。]