― 自宅 ―
[昨夜、宿で顔を合わせた所為か、悪夢は昨日の続きを再生する。
本来なら爆弾を持った敵はもっと早くに始末できるはずだった。
シモンはあの戦闘の時>>0:263、”敵”である子供を撃つのを躊躇っていた。
兵士とはひたすら死体を作り上げるだけの存在。
民間人も、敵兵も関係の無かった男にとっては、
シモンのその行動は不可解に感じたものだ。
人として、守るべきものが何かをちゃんと覚えているような。
あいつは俺と同じ、人の感情をそぎ落とした兵士ではないのか?
そんな腹立しさや失望、絶望。
そんな男の暗い感情に一瞬の判断は遅れ、物陰から飛び出した
男の持つ爆弾が起爆したのはシモンが爆発圏内に入ってからだった。
あれは対人用爆弾。
相当近くにいなければ、巻き込まれるようなことは無い。]