さて、そろそろ良いか。
これだけ解いてくれれば、残りは多少短くなっても文句は言われまい。
さっきからウルがお前の足の心配をしてる、無理を頼んで悪かった。
[ありがとう、呵々と笑って男は半歩身を引いた。
青年の足元にはもう一匹のハイイロオオカミ──門から青年の傍に付いていた方だ──が、倒れぬようにとその巨体を寄せている。
彼が万一よろけたとしても、その大きな背が椅子代わりをしてくれるだろう。]
訳の分からん場所に喚ばれて、疑問だらけだろ?
ぼちぼち他の連中も帰ったみてえだし、俺たちも行こうか。
[説明は道すがらしよう。
言いながら、男は後手にまだ多少藪に絡んだままの長い髪を纏める。片手で押さえ、空いた手が腰の太刀を引き抜き────、]
闘争の民《雷華》が長、ガートルート・ミョルニルだ。この世界でのお前の主となる者さ。
[ばつん。
声とともに、充てがわれた太刀が小さな稲妻を散らしながら赤灼の髪を切り落とした。]*