怪我人は下がってなさい。
私が相手よ、タイガ。
[ ぴしゃんと言いのけた。
魔王様に誰よりも忠実な魔獣の事はよく知っていた
その美しい毛並みに覆われた強靭な
躯に秘められた恐ろしさの事も。
接近戦での戦力差は歴然だっただろうが
魔力で編み強化の術を施した破魔矢で牽制すれば
すぐに戦闘不能になることも無かったはずだ
私が癒しの術を施したのは
多少なりとも危機が去った後だろうが。
鋭い爪に裂かれた傷跡にそっと手を当てて祈れば
二人を柔らかい光が包み、やがて傷は綺麗に癒えた事だろう
気をつけなさい、と怒りたいところだけど
元気な顔を見せてくれたなら許してあげようかな?* ]