―玄関―
[軋んだ扉の音の割には、小奇麗で整った広い玄関ホール。この館の主がそこそこの権力か金の持ち主だということは察せられるぐらいには、壮大な。
扉を丁寧に閉めれば、先客たちに目をやる。どこか探るような視線の男。軍人らしき服装も相まって、少し威圧感を放ちすぎている、かもしれない。]
(少女やらおかしな青年やら――――まともな客もいないのか)
[毒づくのは、周囲に主人らしく人物が見当たらなかったから。男が用があるのはただひとり。他に深入りするようなそぶりは見せず、館の奥の方へと足を延ばす。が、]