――六年前の春――[一人の部屋で眠って知ったのは、それまで“当然”のように居てくれた存在の、大きさ。眠れずに寝返りを打っても、かかる声はなく。結局布団を抜け出して紅茶を飲んでいても、咎める者もいない。いつもと同じはずなのに。一人で飲む紅茶は、どこか味気なく。――――飲み進めるうちに、少し、塩気が混じった。]