[目の前の男が人狼だとは少女は知らない。まさか、自分が天魔であると気付かれているとは思っていない。
ただ、悪い人狼と聞いて、かつてこの村で一緒に過した人達の事を思い出しては切な気に瞳を揺らした。
それも一瞬のこと。ヴァルターにリーザはただの少女の様に無邪気な笑顔をうかべて、]
……うん、ヴァルターが居るって言うなら信じるよ。
それに、その、リズは、ヨアヒムとディーターを"悪い"人狼だとは思ってないもの。
人狼と……、ううん、"人ならざるもの"が皆で仲良く暮らすお伽噺があるなら、
リズはそっちの方が良いな。
[人狼と同じく"人ならざるもの"の願いが少女の口から零れた。*]