―少し前・廊下―
[この城で初めて見る女性は、たおやかな身のこなしには不釣り合いな程傷だらけだった。
足を引き摺る様子は痛々しくて、血を流して、一歩一歩近づいてくる。
彼女からは不思議と殺気は感じられず、ユーリエと2人で見守った。]
アプラサス…さん。
[ユーリエと互いに名を交わすのを見守って、その名前を忘れないように繰り返す。]
(きっと)大事な約束…なんですね――。
[>>51 こちらを見上げるユーリエに頷くと、道を譲るように後ろへ下がった。
>>56たとえ殺されることになっても、それでも約束を果たそうとする、白く華奢な背中を見送る。]
二度と会わずに、永く生きるより…――。
[女性の心はよく掴めないけれど、>>57彼女の繊細な言葉と意志は乾いた大地を潤す雨のように、
そっと、静かに胸に染み込んだ。]