― 鉄底族 ―
[崖の上から突如現れた人間を、止められるような亜人はいない。
その騎馬が鉄底族の隊列に近づくのを見れば、近づくものもいなかった。
鉄底族の槍斧は、周囲全てを容赦なく砕くからだ。
だが黒い槍斧の穂先は、ふたりの前に開かれた。
隊列が動き、方陣が円陣へと変わる。
中心には、斧槍を手に立つ族長たる、偉大なる鷲髭のゴルバと、副長である石顎のガルドが並び立っていた。]
「果たし状、確かに受け取った。
鉄底族長の誇りと名誉にかけて、決闘を受けて立つ。」
[重々しく宣言してから、眉を寄せる。]