[傭兵はなにより機転がないと生きていけない。味方がこちらをおいて逃げることで敵中で孤立する。それどころか酷ければ敵味方関係なく矢だって放ってくる。そういったことをしてきそうなものを知っておかなければならない。知っておけば、臆病な指揮官の下であれば、いつもより早く撤退をするなどと備えれる。
氷竜軍にいたころも、海精軍に移ってからも、味方の情報を得ようと努めていた。彼らにとって危険なのは目の前の敵でもない。空を駆ける竜でもない。自分たちの横にいて後ろにいる味方であった]
「あっちの傭兵と渡りとつけて八百長試合でもするか?」
それも取るべき手の一つだろう……氷竜軍に伝手はあるやつはいるか?
[出た提案。それに対して向けた問いには、二、三人の手があがって、無言で頷きあった]